小売店舗が抱えるショールーミング問題とは
問題になっているショールーミングって?
店舗で商品をチェックして、同一の商品をあらためてネットで購入するのが、いわゆるショールーミングと呼ばれる行動です。店舗よりも安く商品が買えるお店を探して購入するのが、このショールーミングの1つのパターンです。ショップの公式オンラインショップはもちろんですが、ネット通販のお店では独自にバーゲンセールなどを行っていることがありますので、いろいろなお店を当たってみれば、実店舗よりも安く商品が手に入ることは珍しくありません。また、ネットショップなどで商品について簡単に調べておき、試着や商品を自分の目で見るためにショップを訪れるパターンもあります。ただ、この場合も店舗で商品を買わずにネットから購入をするのがショールーミングの特徴です。
こういったショールーミングのような行動は、Webルーミングとも呼ばれることがあります。Webルーミングは、ネットショップなどで商品を見てから店舗に足を運び、試着などをしてその場で商品を購入するスタイルです。口コミや商品のレビューなどを見て、その商品について予備知識を得た上で、ショップに足を運ぶのがこういったWebルーミングのパターンです。この手の消費行動が増えている状況については、2012年頃にアメリカの調査会社であるコムスコア社が発表し、一躍話題になりました。
ショールーミングにはどんな問題点がある?
購入する顧客からすれば、できるだけ安く商品が手に入るお店を探したいというのが本音。ネットショップはテナント料や地代がかからないため、浮いたコストを商品の値引きという形で消費者に還元することも可能です。したがって、少しでも安く買いたいという顧客のニーズを満たすことができます。ただ、ネットショップの場合は、実際に商品を見てから購入をしたいという顧客のもう1つのニーズを満たすことはできません。このようなジレンマがあることから、ネットに親しんでいる方はショールーミングという方法をとるケースが増えているのです。
お店で商品を確認してから、定価よりも安く販売されているネットショップを探せば、安く買いたいというニーズと、商品を見てみたいというニーズを同時に満たすことができます。しかしながら、このようなショールーミングの行動が増えると、実店舗に利益が生じず、売上がダウンする可能性が出てきます。顧客がネットショップに流れてしまい、店舗の維持費などのコストをかけているにもかかわらず、利益が伸び悩むといった状況に陥りかねないことが問題になっているのです。この問題は、企業の経営不振や倒産を招くリスクもあると指摘されています。
ショールーミング問題の解決に役立つ対策は?
顧客をネットショップに持っていかれないよう、ショップでもさまざまな対策をスタートしています。例えば、多くのお店が行っているのが、実店舗を利用して購入した顧客に、ポイントを付与するといった方法です。実店舗でしか購入できない商品を増やすなど、お店で買うことでいろいろなメリットが得られるようにすることが、ショールーミングへの対策になっています。また、店内商品の写真撮影を禁止するといったデメリットを作り、ネットショップに顧客が流れないような工夫をするお店も見られるようになりました。
このような対策を講じるお店がある一方で、実店舗をマーケティング・チャネルとして捉えるお店も出始めています。あえて自社の公式オンラインショップへ誘導するお店も増えました。例えば、無料Wi-Fiが利用できる旨を積極的にPRし、自社のサイトやオンラインショップにアクセスを促すなどはマーケティング手法の1つになっています。また、商品のパッケージにQRコードを併記して自社のサイトやオンラインショップに誘導するのもよく見られる方法で、経営スタイルを見直し、実店舗での購入にこだわらずに済むようにすることがショールーミング対策になっています。
ショールーミングをポジティブに捉えて活用しよう!
「安く買いたい」「商品を見てから購入したい」という顧客の2つのニーズを満たしているショールーミングは、実のところコントロールが難しいのも事実です。スマートフォンなどが普及している状況から見ても、この手の消費行動にストップをかけるのは、なかなか骨の折れる作業になるかもしれません。確かにこのショールーミングが一般化すると、ご紹介したような「実店舗の売上が落ちる」などの問題が懸念されます。ただ、お店の中には、このようなショールーミングもビジネスチャンスと捉えているところもあります。オフラインである店舗からオンラインショップへと誘導する、1つのチャネルとしてポジティブに活用している企業も少なくありません。デメリットにばかり気を取られず、自社のマーケティングを強化する手段として、ショールーミングをチャネルとして活用してみましょう。